30代以上の関西育ちでサンテレビ・テレビ大阪あたりを見ていた子供の脳に恐ろしくインプットされているCMというのがいくつかあります。
なかでも、
・京橋グランシャトー
・宴会天国千日前味園(みその)
このふたつは誰もが「あー!あったあった!」と思いだすのではないだろうか。
「味園」のこの赤青のネオンが子供心をわしづかみでした。BGMもスペーシーで宇宙っぽかったりした記憶があります。「ぴゅ~」ってゆってた。
この二つはどちらも「おじさん」の行くところという印象で、濃すぎるCMである。神戸っ子にとっては、近いのに遠すぎる謎の楼閣でした。
そして味園はCM内でも「総合レジャービル」という言い方を強調しており、子供心には一体何ができるのかさっぱりわからないまま私は東京へ来てしまった。
そこで、
【2015年5月、はじめての味園体験】
(1)10年以上味園に通っている知人にBARに連れていってもらう
(2)5階は「ホテル」なので普通に宿泊してみる
という2ミッションを敢行してきました。
味園周辺の現在は、若い人が気軽に楽しめる飲食店が軒を連ねます。
昔は「行ったらあかん」場所やったのに、時代は変わりました。
この奥には黒門市場。
さて、建物横のスロープから入れるBARフロアへ。
とあるBAR。
こういう小さな間口のBARがずらっと並んでおり、いずれも多少の怪しさはあるものの、みなさん「ちゃんとやってる」店主たちばかりで今では誰でも迎え入れてくれる場所になっています。スーツ姿のサラリーマン、クリエイター、外国人、大学生男子、OLさん、上司と愛人、などの様々な客層が自然に出入りしていました。ぜひ機会があれば、気軽に行ってみると良いでしょう。一見さんお断りな態度はみじんもない、若いいい店主ばかりでした。
そしてホテルですが、まずフロントのおじさんやお姉さんは本当に親切で手慣れた風情なので安心感が湧いてきます。(もう一度書きますが、昔はこの辺は「来たらあかんところ」でした)特におじさんのしゃべりの「間」が舞台歴の長い漫才師のようでもあって不思議なかんじです。
部屋は「昭和クラシック」とでも言えばいいでしょうか、いまでは見ることのできない古い調度品ばかりでおもしろいです。昭和の全盛期、宴会天国で終電に乗り遅れたおっさんのために宿泊フロアも開設したのでしょう。写真を撮り忘れてしまいましたが、お風呂はやたら広くて浴槽も大きく、当時のおっさんはさぞ喜んだでしょう。そして朝には、ホットコーヒーとバタートーストのモーニングサービスを各部屋に持ってきてくれます。
「たいへん質素なモーニングですがよかったらお召し上がりくださいませ」
東京にいると、少しへりくだるような優しいもの言いをなかなか聞けなくなっています。つんけんしたところの全くない、流暢な大阪弁。
ホテル「味園」、いいですよ!
2014年、ビジュアル的に印象の強い「味園」が、映画のロケ地としてクローズアップ。ジャニーズのアイドルがここを舞台にしたロードムービー「味園ユニバース」で世界各国で上映されました。それで少し観光地っぽくなった印象も否めませんが、この「千日前」という地の歴史を考えると、いろんな人を楽しませる「レジャービル」を維持し、あやしくもおもしろい場所である味園は大阪の庶民が築き上げた、生きてる大阪遺産です。
昼間はこんなかんじ。
周辺の新しい看板と比べると、味園の外観は年季を感じますねえ。
2015/5/28撮影:maki
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